教授の猫(クツシタ)と一緒にいたスフィーンですが、別に怪しい実験をしていたわけではありません。
林の中でケガをしていたクツシタの、治療をしていただけなのです。
冒険者の皆さんの協力もあり、元気になったクツシタをつれて、教授のもとへと行くマルト。
途中でとぼとぼと歩くセリアと出会います。
「……ごめんなさい、マルトさん。わたくし、スフィーンに自分の弱さをつかれて
恥ずかしかったんです。
それでつい、手をあげてしまって……思わぬ反撃をくらい、頭がまっしろになってしまって……。
ですが、スフィーンだって猫を勝手につれて何をしていたのかと!
……え? スフィーンは悪くない? ……勘違い!?」
マルトから顛末を聞き、セリアは慌てました。そして――
「わたくし……謝らなくては。 すみませんマルトさん、それでは、また!」
――セリアは意を決したように顔をあげ、スフィーンへ謝りに駆けて行くのでした。
マルトがクツシタを教授のもとへと返すと、教授は泣いて大喜び。マルトも嬉しくなって笑顔で見ていると、なんとそこに息を切らせたユーグとナディーヌがやってきたのでした。
ユーグが言うには、木陰の村モルルでは、マルトが黙って家を出てきてしまったために、大騒ぎになっているとのこと。
2人はマルトの行方を追い、連れ戻しに来たことを告げられ、マルトはモルルへと戻ることになるのですが……
スフィーンさんはすごく頭のよい人です。
話し方が少しぶっきらぼうなので、冷たい人のように見られがちですけど、
実は優しい人……だと思うです。
ケガをして困っていた猫ちゃんを助けてくれたのが、何よりの証拠です。
いろいろと難しいことをいってましたですけど、助けるためにやってくれたことです……よね。
たぶんそうです。
セリアさんに対しての行動にはびっくりしましたですけど、別にセリアさんに限った態度ではなく、
誰に対してもこうだといってました。
つまり、人を差別しない人なんだと思います。
少しだけ怖いですけど、しっかりとした人です。
だけど、皆さんが『シリルさん』って呼ばないで、『スフィーンさん』って呼ぶのは……
皆さんとの間に、どこか距離があるからなのかもしれません。
たしかに、スフィーンさんのほうから、付き合いを断っている風でもありますし……
わたしもつい、スフィーンさんって呼んでしまいます。
いつか、きちんと、シリルさんって呼べるようにがんばります。
きっと、スフィーンさんも、それを望んでいるように思えるんです。
ところで、わたし、久しぶりにユーグさんと会いました!
ユーグさんがゆうには、わたしの故郷モルルでは、わたしがいなくなったことにより
大騒ぎになっているそうです。
いろんな人に迷惑をかけちゃいました……すみません。
とりあえず、モルルに戻ることになったですが……。
マルト・ブロア | |
| |